8つの食べ物を口にしない戒律

今回も、勝手ながら「私事」をつぶやかせて頂きます。


最近、ネットで「西遊記」というドラマを観ました。「西遊記」は、「香取慎吾が孫悟空役の2006年に作られたドラマ」と、「堺正章が孫悟空役の1978年に作られたドラマ」の2つがありますが、後者の1978年の方を観ました。これは、豚の猪八戒役を西田敏行、カッパの沙悟浄役を岸部シロー、そして三蔵法師役を、今は亡き女優・夏目雅子が演じておりました。


この中で、西田敏行が演じる八戒が、私には特に面白く感じました。ですので、八戒について書かせて頂きます。まず猪八戒(ちょはっかい)という名前は、三蔵法師に名付けられました。「猪(ちょ)」は、「イノシシ」の漢字ですが、中国語では「ブタ」を指すそうです。そして、「八戒(はっかい)」の理由ですが、三蔵法師に弟子入りする直前まで、「(野菜、肉、魚などの)8つの食べ物を口にしないという戒律」を守っていたので八戒(はっかい)と名付けられました。


しかし弟子入り直後から、食欲や性欲など、だんだんと我慢ができなくなり、終いには「全く我慢できない」という状態になりました。その事が原因で、旅で行く先々で、必ず問題を起こしてしまいます。強くて正義感の有るスーパーヒーローの孫悟空とは対照的で、「ドジ」「怠け者」「天然」といったキャラクターです。それを演じる西田敏行の演技がまた上手く、「妖怪なのに人間らしい」「トラブルを起こすけど憎めない」「愛着が湧く」キャラクターでした。この猪八戒がいたからこそ、この西遊記というドラマはとても面白い物になったのだと思いました。


この「西遊記」には続編があり、「西遊記2」が有りますが、悲しい事に、西田さんは出演を断りました。理由は、当時、中学性の息子が、「お前の父ちゃんは豚役しかできないんだな!」とイジメられたからです。このイジメた側は、「とんでもない事をしてくれたな…」と私は思います。多分、「西遊記ファン」の方も、当時思ったのではないかと思います。


最後に漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげる先生が言っていた言葉を思い出しました。『ゲゲゲの鬼太郎を面白くしてくれたのはネズミ男だ。主役の鬼太郎ではできない「汚い役」を全て引き受けてくれた。「欲」に関係する、人間の汚い感情の部分を。だから真の主役はネズミ男だ!』と言っておりました。この言葉を聞いて、胸が熱くなりました。猪八戒に対しても、同じような感情を持ちました。