温湿布と冷湿布
温湿布と冷湿布のどちらが良いか?といった質問を患者様から度々受けます。私の返事としては、「痛めてすぐは冷湿布、その後、しばらくしたら温湿布」です。その理由は、感情、皮膚の感覚、免疫力の3つが関係しているからです。
感情と免疫力
まず、感情と免疫力はとても深い関係にあります。怒りや不安、悲しみや嫉妬、恨みやねたみなどのマイナスの感情は、体を疲労させ、免疫力を著しく奪って心身を病気に追い込みます。一方、安心や信頼、明るく楽しいプラスの感情は、心も体も柔軟にさせ、免疫力を高めて若々しさ、美しさ、健康を作ります。
皮膚の感覚と免疫力
次に、皮膚の感覚と免疫力にも深い関係があります。九州大学の綿貫教授は、皮膚に接する衣服(下着)によって、免疫力やストレス度が変わることを発見しました。数人の子ども達を2つのグループに分け、それぞれ、柔らかい綿の下着と硬い綿の肌着をつけさせて唾液と尿を調べたところ、柔らかい素材の下着を着た子ども達と、硬めの素材の下着を着た子ども達では、明らかに硬い素材の下着を着けた子ども達は、ストレス度があがって、免疫力が低下しました。一方、柔らかい下着を着けた子ども達の方は、ストレス度が下がって、免疫力が高まったのです。もちろん、下着をつけている子ども達は、双方何の違和感も感じていません。下着のことなど全く意に介せず、キャッキャと遊んでいたのです。でも、身体は無意識のうちに肌着の感触をストレスに感じたり、安らぎとして感じていたりするのです。
このように、感情と免疫力、皮膚で感じた感覚と免疫力とはとても深く関係しています。
冷湿布と温湿布の違い
一般的には「冷湿布は冷やす効果がある」「温湿布は温める効果がある」と言われています。ただ、健康番組など、「一般を上回る上級者向け」の番組では、「どちらの湿布も感じ方が違うだけで、実際の温度は変わらない」と言われています。私の考えとしては、「どちらが正しいか解らない」です。理由は、健康番組などは、「何度も常識とされている定説が覆る事がある」からです。
そして、一般的な常識としては、「冷やす事が良しとされるのは急性期(痛めてすぐ)だけ。」「一般的に、冷やす事全般は、悪く作用する事が圧倒的に多い」「慢性期(しばらくした後)は温める事が良い事」「一般的に、温める事全般は、良く作用する事が圧倒的に多い」です。感情、皮膚の感覚、免疫力の3つが関係している事から、「痛めてすぐは冷湿布、その後、しばらくしたら温湿布」という考えが、私の答えです。